【燕vol.1】レジェンド・オブ・ゼンハ──1413年、中国から始まった「ツバメの巣」の旅路 ──1000年以上前から愛される“燕の恵み”──その本当の始まりとは?

【燕vol.1】レジェンド・オブ・ゼンハ──1413年、中国から始まった「ツバメの巣」の旅路 ──1000年以上前から愛される“燕の恵み”──その本当の始まりとは?
目次

レジェンド・オブ・ゼンハ──1413年、中国から始まった「ツバメの巣」の旅路

こんにちは、時 昴です。
今回は、「ツバメの巣研究室」シリーズの第1章。
この素材が、どこから来て、なぜ“美容の象徴”となったのか。
1000年以上の歴史をひも解きながら、その源流を辿っていきましょう。


■ 燕の巣とは何か?

東南アジアに生息するアナツバメが、自らの唾液分泌物だけで作る“天然の巣”。
「燕窩(えんか)」と呼ばれ、中国では古来より高級食材・薬膳素材として珍重されてきました。

■ 起源は1413年──明の航海士・鄭和(ゼンハ)

ツバメの巣が世界に広まるきっかけを作ったのは、中国・明の時代の伝説的航海士「鄭和」。
皇帝・永楽帝の命を受け、2800隻の船と2万7000人の乗組員を率いて大航海に出ました。

その航海で訪れたインドネシア・スラウェシ島で、彼は初めて「白く光る巣」と出会います。
それが、まさに「燕の巣」。

皇帝への献上品として持ち帰られたこの素材は、やがて中国全土、そしてアジアへと広がっていきました。

■ 古代中国の薬学書『本草綱目』にも記載

『本草綱目(ほんぞうこうもく)』──明代の天才・李時珍が20年かけて編纂した、東洋医学の金字塔。

この書には、燕の巣がこう記されています:

「肺を潤し、気を補い、老化を防ぐ」

つまり、燕の巣は“薬膳”としての効果が古くから注目されていたのです。

■ 楊貴妃・西太后も愛した「美の象徴」

世界三大美女・楊貴妃も、その美貌を保つために燕の巣を愛用していたという逸話が残ります。

また、清の時代には「西太后」も愛用。
漢方、薬膳、美容鍼…あらゆる“東洋美容”を重視していた彼女は、燕の巣を日常的に食していたとされています。

■ 江戸時代、日本にも伝来

ツバメの巣は、日本にも江戸時代に伝わり、出島を通じて長崎に輸入。
一部の貴族や幕府への「献上品」として扱われていました。

つまり、私たち日本人にとっても、古くから“特別な人に贈られる素材”だったのです。

■ 科学と融合し、現代の素材へ

現代の研究では、燕の巣には次のような成分が含まれることがわかっています:

  • グリコプロテイン
  • シアル酸
  • EGF様成長因子

これらが、免疫・肌再生・アンチエイジングの分野で注目されているのです。

つまり──
燕の巣は「歴史が証明し、科学が裏づける」
そんな、唯一無二の素材なのです。


📌 まとめ

ツバメの巣は、高級食材にとどまりません。
それは、1000年にわたって人類の健康と美を支えてきた“知恵の結晶”なのです。

皇帝の食卓から、現代のエビデンスベース美容まで。
古代の智慧と現代の科学が交差する場所に、燕の巣は存在しています。

📩 次回予告|

次回は、現地の生活の中で燕の巣がどのように使われているのか。
リアルな文化背景とともに、お届けします。

時 昴
記事を書いた人
時 昴さん