【燕vol.8】巣は一度きり!? ──アナツバメの“潔すぎる”子育て哲学

【燕vol.8】巣は一度きり!? ──アナツバメの“潔すぎる”子育て哲学
目次

巣は一度きり!?──アナツバメの“潔すぎる”子育て哲学

こんにちは、時 昴です。
今回の「ツバメの巣研究室」は第8章。巣作りと一夫一妻制に焦点をあてます。


■ 巣は“毎回つくり直す”のが基本

アナツバメは年に3回(3月・7月・11月)、繁殖のたびに毎回新しい巣を作ります。
巣づくりには1か月以上かかり、首元の特殊な腺から分泌される唾液だけで構築。
空気に触れることで固まり、透明感ある美しい巣になります。

■ 再利用しない“理由”は、命の哲学

「せっかく作ったなら、また使えば?」と思いませんか?
でも彼らは、一度使った巣は絶対に使いません

その理由は、病原菌や寄生虫のリスクを避け、子育てに最も安全な空間を確保するため
古いものよりも、毎回“命を迎える準備”を整える──その美学が、ここにあります。

■ アナツバメは“一夫一妻制”の鳥

アナツバメは生涯同じパートナーと過ごします
巣作りは夫婦の共同作業で、オスが骨組み、メスが仕上げ担当。

信頼と役割分担のもと、協力して命を育む姿は、自然界における“愛と絆”の象徴のようです。

■ 毎年“同じ場所”、でも巣は“新品”

さらに面白いのは、毎年同じ場所に戻ってきて新しい巣を作るという習性。

これはまるで、同じ舞台で、新たな命の物語を紡ぐようなもの。
自然の中にある、粋で律儀な生き方です。

■ 巣作りは“命のための芸術”

アナツバメにとって巣とは、ただの住処ではありません。
命をつなぐ神聖な舞台であり、美しさと清潔さエネルギーと時間を惜しまず注がれた作品なのです。

儚くも美しい、“一度きり”の巣。
自然界の哲学に、私たち人間が学ぶべきことは多いかもしれません。


📩 次回予告|

第9章では、アナツバメの巣の中でどのように“命”が育まれていくのか。
産卵から雛の成長まで、その感動のサイクルをお届けします。
どうぞお楽しみに!

時 昴
記事を書いた人
時 昴さん